頼まれごとを断れずあとから腹が立つ理由と「いいよ」の裏にある本音を表した記事のTOP画像
頼まれごとを断れなかったあとに残る怒りや疲れは、自分の本音に気づく手がかりになることがあります。

頼まれごとに「いいよ」と答えた直後は、相手の役に立てた気がする。ところが、仕事が重なるほど「どうして私ばかり」と腹が立ってくる。そんな自分をわがままだと責めていないでしょうか?

あとから出てくる怒りは、性格の悪さではなく、引き受けた量と本音がずれていることを知らせるサインかもしれません。相手の責任と自分の選択を分けて見ると、誰かを一方的に悪者にせず、今から負担を調整できます。

この記事で整理できること

  • 自分で承諾したのに、あとから怒りが出る理由
  • すでに引き受けた仕事を伝え直す方法
  • 次から返事を急がないための短い言葉

「自分で引き受けたのだから怒ってはいけない」は半分だけ正しい

自分で「やります」と答えた以上、その返事には自分の選択が含まれています。ただし、だからといって、予定外の負担や苦しさを黙って抱え続ける必要はありません。

怒りは火災報知器のようなものです。鳴った音だけを責めても、煙の出どころは分かりません。「相手が悪い」「私が悪い」の二択ではなく、どの時点で無理が生まれたのかを確かめることが大切です。

僕も「いいよ」と引き受けたあと、心の中で相手を責めていました

僕は著書『もっと自分を愛していい』(KKロングセラーズ)の中で、仕事を完璧にしようとして何もかも抱え込んでいた時期を書いています。自分の仕事がすでに限界まで詰まっていても、頼まれると断れませんでした。

その結果、処理しきれずクレームにつながったり、体調を崩して休んだりしました。それでも当時の僕は、自分から引き受けたのに「なぜ自分ばかり苦労しなくてはいけないのか」と愚痴をこぼしていたのです。

今振り返ると、頼まれごとの内容だけが問題だったのではありません。「いい人に見られたい」「できる人だと思われたい」「嫌われたくない」という気持ちが強く、忙しさを確認する前に返事をしていました。相手への怒りの奥には、言えなかった自分の本音がありました。

頼まれごとを断れず反射的に「いいよ」と答えたあと、本音が置き去りになり怒りや疲れが出る流れを示した図
反射的な返事のあとに怒りや疲れが出るときは、本音が後から追いついてきているのかもしれません。

怒りを3つに分けると、次の行動が見えてくる

「腹が立つ」という感情をそのまま相手にぶつける前に、次の3つを分けてみてください。

怒りの中身を整理する3つの視点
視点 確かめること 次の行動
相手の依頼 依頼内容や期限は現実的だったか 条件や優先順位を確認する
自分の返事 考える前に反射的に承諾しなかったか 返事を保留する言葉を用意する
今の負担 何を減らせば対応可能になるか 納期・範囲・担当を再交渉する

ここを分けると、「全部相手のせい」でも「全部自分のせい」でもなくなります。責任を分けることは、逃げることではなく、仕事を現実的な形に戻すことです。

引き受けたあとでも、返事は伝え直していい

一度承諾したら、最後まで何も言えないと思う人もいます。しかし、無理なまま抱えて遅れるより、早い段階で状況を共有するほうが、相手も予定を組み直しやすくなります。

  1. 納期を相談する
    「確認したところ、今の業務量では今日中が難しいです。金曜までなら責任を持って対応できます」
  2. 範囲を小さくする
    「全部は難しいのですが、資料整理までなら担当できます。提出部分は別の方と分担できますか?」
  3. 引き受けた返事を撤回する
    「先ほど引き受けましたが、予定を確認すると対応が難しい状況でした。早めにお伝えしたほうがよいと思い、相談しました」

言い訳を増やすより、「現状」「可能な範囲」「代わりの案」を短く伝えるほうが話し合いやすくなります。相手の反応までコントロールすることはできませんが、自分の状況を正確に伝えることはできます。

頼まれごとを断れなかった場面を出来事・浮かんだ考え・気持ち・本音の4つに分けて整理する図
出来事と考え、気持ち、本音を分けてみると、自分を責める前に何が起きていたのかを整理しやすくなります。

次からは「断る」より先に、返事を保留する

断ることが怖い人にとって、いきなり強く「できません」と言うのは難しいものです。まずは、即答しない練習から始めてみてください。

返事を保留する言葉

  • 「予定を確認して、今日中にお返事します」
  • 「今の仕事との優先順位を確認させてください」
  • 「どこまで必要か聞いてから判断してもいいですか?」

返事を保留する時間は、相手を焦らすための時間ではありません。自分の予定、体力、責任を一度テーブルの上に並べる時間です。「頼まれたらすぐ応える人」から、「確認して責任ある返事をする人」へ、役割を選び直していきましょう。

ここで少し、自分の気持ちに目を向けてみませんか

10の質問で、今の自分を振り返る無料でセルフチェックを開く 登録不要・答えにくい質問は飛ばせます
心のセルフチェックを読み込んでいます。

医療上の診断ではなく、自分を理解するためのセルフチェックです。

個人の断り方だけでは解決しない職場もある

明らかに遂行できない量を強制される、断ると脅される、相談しても仕事を減らしてもらえない。こうした状況は、個人の伝え方だけで背負う問題ではありません。

厚生労働省は、職場のパワーハラスメントの典型例として、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する「過大な要求」を挙げています。状況に当てはまるか自分だけで決めつけず、日時、依頼内容、やり取りを記録し、社内の相談窓口や労働局などへ相談する選択肢があります。

眠れない、食べられない、動悸が続くなど心身への影響があるときは、我慢比べをしないでください。厚生労働省の「こころの耳電話相談」では、仕事や人間関係、過重労働による心の健康への影響について相談できます。ハラスメント対策の情報は厚生労働省の案内でも確認できます。

怒りは、断れなかった自分を責める材料ではない

あとから腹が立ったら、「また私はダメだった」と終わらせる必要はありません。その怒りは、自分の限界や本音に気づく入口になります。

まずは、何を頼まれ、何を引き受け、どこから無理になったのかを書き分けてみてください。そのうえで、納期を延ばすのか、範囲を減らすのか、返事を伝え直すのかを選びます。次回は、すぐに「いいよ」と答えず、確認する時間を一度はさむ。それだけでも、同じ苦しさの繰り返しを減らせます。

頼まれごとを断れないときに、すぐ返事をしない・できる範囲を伝える・断れなかった理由を見る・自分を責めすぎないという4つの行動を示した図
いきなり上手に断れなくても大丈夫です。すぐ返事をしないなど、小さな選び直しから始められます。

ひとりで整理しづらいときは、LINEで言葉にしてみてください

「断れず引き受けたあと、相手に腹が立つ」「本当は何が嫌だったのか、自分でも分からない」。そんな気持ちを、うまくまとめてから相談する必要はありません。

松野正寿の公式LINE案内では、初めての方は2週間以内・5往復まで無料でメッセージ相談を利用できます。登録だけで有料相談が始まることはありません。

最初のメッセージ例

「無料相談を希望します。頼まれごとを断れず、引き受けたあとに相手へ腹が立つことを整理したいです」

医療上の診断や治療ではなく、出来事と気持ちを分けながら、今の自分にできる一歩を一緒に整理します。

生きづらさを手放す心理カウンセラー・松野正寿

参考情報