生きづらさを手放す心理カウンセラー
松野です。いつも感謝です!
相手からの返事が少し遅いだけで不安になる。親しくなりたいのに、近づかれると心を閉ざしてしまう。人との距離が分からなくなるとき、「自分はどうしてこうなるのだろう」と考えることはありませんか?
そんな反応を理解する手がかりの一つが「愛着スタイル」です。愛着スタイルは親密な関係で安心を求める傾向を考える枠組みであり、それ自体は病気の診断名ではありません。この記事では代表的な傾向を比べながら、今の人間関係で何を選べるのかを考えていきます。
愛着スタイルとは何か
愛着とは、怖いときや困ったときに安心できる人を求めることなどに関わる心理学の概念です。子どもと養育者との関係を理解する研究から発展し、大人の恋愛や対人関係についても研究されてきました。
ただし、生まれ育った家庭だけでその人の対人関係が一生決まるわけではありません。現在のパートナーとの関係、これまでの経験、生活のストレスなども、安心の感じやすさと関係します。「自分は何型か」を決めるより、どんな場面で不安や距離を感じやすいかを見ることが大切です。
大人の愛着スタイルを理解する
成人の愛着研究では、親密さに対する不安や、親密な関係を避ける傾向などの違いを使って関係のパターンを整理することがあります。以下は理解を助けるための代表的な説明であり、正式な医学的診断ではありません。実際には一人の中に複数の傾向が現れることもあります。

安定した関係を築きやすい傾向
相手に相談したいときに頼りやすく、意見が違ってもすぐに「嫌われた」とは結びつけにくい傾向です。自分の都合も相手の都合も大切にしながら、必要なときに気持ちを伝えられます。
ただし、安定型と呼ばれる人がいつも平気という意味ではありません。大切な人とすれ違えば不安になったり、落ち込んだりすることもあります。気持ちが揺れないことではなく、揺れたときに立て直す余地があるという理解が近いでしょう。
不安が強くなりやすい傾向
相手とつながっていたい気持ちが強く、返信や表情の変化に敏感になることがあります。たとえば「忙しい」と言われたとき、相手の予定の説明として受け取るより先に「自分を避けているのかな」と考えてしまう。安心を求めるほど、かえって不安が大きくなることもあります。
そんなときは、相手を何度も確かめる前に「返信がない」は事実、「嫌われた」はまだ分からない想像、と整理することが役立つ場合があります。不安になった自分を責めなくても大丈夫です。
親密さを避けやすい傾向
人と親しくしたい思いはあっても、依存したくない、自分の弱さを見せたくないと感じる傾向です。疲れたときに一人になりたくなることは誰にでもありますが、助けが必要なときにも「迷惑をかけるくらいなら全部自分でやろう」と抱え込みやすい人もいます。
一人でいる時間を好むこと自体に問題はありません。大切なのは、一人の時間を選んでいるのか、それとも頼ることが怖くてほかの選択肢を持てなくなっているのか、その違いを自分で確かめてみることです。

近づきたい気持ちと怖さが重なる傾向
親しくなりたいのに傷つくのが怖くて、近づいたり離れたりを繰り返すことがあります。成人の愛着モデルで「恐れ・回避型」などと説明される傾向に近いものです。ただし、子どもの愛着研究で使われる「無秩序型」と単純に同じものとして扱うことはできません。
「複雑な性格」と決めつけるより、どの場面で安心できて、どの場面で怖さが大きくなるのかを分けてみてください。二つの気持ちが同時にあるからといって、人と関わる資格がないわけではありません。
ここで少しだけ自分の気持ちに目を向けてみませんか?
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愛着スタイルと愛着障害は違う
以前は「不安型」「回避型」などを愛着障害の種類として紹介してしまう説明もありました。しかし、医学的な「反応性愛着障害(RAD)」や「脱抑制型対人交流障害(DSED)」と、成人の愛着スタイルは区別する必要があります。
米国児童青年精神医学会と英国NICEの資料では、医学的な愛着障害は主に子どもの養育や発達の経過を踏まえて専門家が評価するものと説明されています。相手の返信が気になったり、人に頼りにくかったりするだけで医学的な愛着障害と判断することはできません。
診断名と大人の愛着不安の違いは、別記事愛着障害とは何かを詳しく整理した解説で取り上げています。自分が病気なのかと心配になった方は、先にこちらをお読みください。
愛着の不安を軽くするためにできること
相手の反応と自分の価値を切り離す
相手が不機嫌だった日も、返事が遅かった日も、その出来事だけであなたの価値が下がるわけではありません。まず「何が起きたか」と「そこから自分は何を想像したか」を分けてみましょう。すぐに安心できなくても、想像を事実と決めつけないことが自分を守る助けになります。

小さな希望を言葉にする
誰かの顔色を見ながら相手に合わせてしまうと、自分が何を望んでいたか分からなくなりやすいものです。「今日は少し休みたい」「連絡できない日は一言もらえるとうれしい」など、大きな要求ではなく、短い希望から伝えてみてください。
相手に伝えることは、自分の気持ちを押しつけることではありません。相手にも事情があり、自分にも事情がある。その両方を尊重できる関係なのか、確かめる機会になります。
安心できる関係を少しずつ増やす
無理をしなくても会話ができる人、断っても関係が続く人、意見が違っても話せる人。そんな経験を重ねることは、人との関わり方を選び直すきっかけになります。今すぐ親や恋人と関係を修復する必要はありませんし、関係を続けることが危険なら安全を優先してください。
アダルトチルドレンとの関係を考える
アダルトチルドレンは、家庭環境の影響やそこから続く生きづらさを語る際に使われる言葉ですが、独立した医学的診断名ではありません。愛着スタイルも、アダルトチルドレンも、今の苦しさを考える手がかりにはなっても、一人の人生のすべてを説明するものではありません。
親との関係が気になる場合は愛着スタイルと愛着トラウマを扱う記事も参考になります。ただし、現在の人間関係や心身の状態を見ずに、原因をすべて幼少期へ戻してしまわないようにしたいところです。
一人で抱えず相談してほしいとき
眠れない、仕事や生活に支障が出ている、強い不安や恐怖が続く場合には、心療内科・精神科、心理職などの専門家への相談を検討してください。相手から脅しや暴力を受けているなら、まず安全を確保して支援につながることが大切です。

自分の愛着スタイルを決めることより、今のあなたが安心して暮らすために何が必要かを一緒に整理する。そのための相談でも構いません。ココロノミライの公式LINE案内から、利用方法をご確認ください。
参考にした情報
- 米国児童青年精神医学会 Attachment Disorders — 医学的な愛着障害の説明
- NICE Children’s attachment guidance — 愛着の困難と診断の区別
- Mapping evidence from systematic reviews regarding adult attachment and mental health difficulties — 成人愛着に関する系統的レビューの整理






