自己肯定感よりも自己受容が大切

自己肯定感が大切だと言われることが多い昨今、
SNSやメディアでも、とにかく「自己肯定感を高めよう」
ポジティブになれる考え方が大切みたいなたメッセージが
本当に頻繁に見られます。

しかし、多くの方が気づいていないんです。
アダルトチルドレン(AC)として育った方々にとって、

自己肯定感を無理に高めようとすることは
かえってプレッシャーになり、

自分を追い込む原因となることも少なくありません。

アダルトチルドレンを克服させる
生きづらさを手バンス心理カウンセラーとして

なぜ自己肯定感を追い求めるのではなく、
「自己受容」が大切なのかについてお話しします。

そもそも自己肯定感とは?
自己肯定感とは、簡単に言えば「自分に自信を持つこと」や「自分を好きになること」です。自分の価値を評価し、「これでいいんだ」「自分には価値がある」と感じることを指します。もちろん、自己肯定感を高めることは素晴らしいことですが、アダルトチルドレンとして育ってきた方々にとっては、これが非常に難しい課題であることもあります。

幼少期に厳しい環境で育ち、親から十分な愛情を受け取れなかった場合、自己肯定感を自然に持つことができないことがあります。「自分には価値がない」「自分はダメだ」といった感情が根強く残っているため、「自分を好きになる」という目標は現実的に感じられないことが多いのです。

なぜ自己肯定感を無理に追い求めるのは危険なのか?
自己肯定感を高めることが推奨される一方で、アダルトチルドレンにとっては、自己肯定感を無理に追い求めることが危険になる場合があります。たとえば、自己肯定感を高めようとする過程で、「自分をもっと好きにならなければならない」「自信を持たなければならない」というプレッシャーを感じてしまうことがよくあります。

自己肯定感が低い状態では、「自分を好きになること」が逆に自己否定を引き起こす原因になりかねません。「まだ自分は足りない」「もっと努力しなければ」という思考に陥り、結果的に自分をさらに追い詰めてしまうのです。

アダルトチルドレンの方は、すでに幼少期から「もっと頑張らなければ」「親の期待に応えなければ」という強いプレッシャーを抱えてきたことが多いため、このような自己評価のプレッシャーが再び自分に重くのしかかることがあります。自己肯定感を高めるという目標自体が、かえって自分を苦しめる結果になるのです。

そして自己受容とは?

一方で、「自己受容」という考え方は、
自己肯定感とは異なります。

自己受容とは、「ありのままの自分を受け入れること」を意味します。つまり、今の自分が完璧ではないことや、不完全であることをそのまま受け入れ、それを否定しないという考え方です。

自己肯定感は「自分を好きになること」を目指しますが、自己受容は「好きになれなくても、そのままの自分でいい」と認めることです。この違いが、アダルトチルドレンにとって非常に大きな意味を持ちます。

なぜ自己受容が大切なのか?
自己受容が大切なのは、アダルトチルドレンの方々にとって「今の自分のままで十分だ」と感じることが心の安定をもたらすからです。自己肯定感を高めようとすると、どうしても「これでは足りない」「もっと良くならなければ」と自分を変えようとするプレッシャーが生まれますが、自己受容は「変わらなくてもいい」という安心感を与えます。

自己受容は、自己否定から解放されるための第一歩です。「今の自分は十分ではない」と感じる時も、「それでいい」と自分を許すことができれば、心が軽くなり、プレッシャーや不安が和らぎます。

具体的な自己受容の方法
では、どうすれば自己受容を深めることができるのでしょうか?いくつかの具体的なステップを紹介します。

感情をそのまま受け入れる
 「自分はこう感じているんだ」という事実を否定せず、まずはそのまま受け止めることが大切です。「今の自分はダメだ」と思った時、その感情を無理に変えようとせず、「そう思ってしまう自分でもいい」と受け入れてみましょう。

自分を評価しない
 「もっと自分を好きにならなきゃ」「自信を持たなきゃ」と自分を評価するのではなく、「今の自分で十分だ」と感じる練習をしてみてください。評価や判断をせず、自分をそのまま受け入れることで、心に余裕が生まれます。

他人と比べない
 自己肯定感が低いと、つい他人と比べてしまいがちです。しかし、他人の基準で自分を測ることは避け、「自分は自分でいい」と感じることが自己受容につながります。比べることで自己否定が強まるため、他人の意見や評価を気にせず、自分を大切にしましょう。

自己受容がもたらす効果
自己受容が深まると、心が安定し、他者との関係もより良好なものになります。恋愛や夫婦関係においても、相手に期待することや自分を無理に変えようとすることが減り、より健全でバランスの取れた関係を築くことができるでしょう。

また、自己受容が進むことで、自己否定や自己嫌悪が和らぎ、自分を大切にすることができるようになります。これにより、アダルトチルドレン特有の不安やストレスも軽減され、より安心感のある日々を過ごすことができるようになります。

さらに、自己受容は人間関係の改善にも大きく役立ちます。自分を受け入れることができるようになると、他人に対する期待やコントロールの欲求が減少します。これは、パートナーシップや職場の人間関係にも好影響を与えます。相手を「こうでなければならない」と決めつけることが減り、お互いに尊重し合う関係が築けるようになるのです。

自己受容が進むことで、私たちは他人の目を気にせず、自分自身に対して優しくなれます。そして、自己肯定感に振り回されることなく、穏やかな心で日常を過ごすことができるようになるのです。