
生きづらさを手放す心理カウンセラーの松野です。
「恋愛がうまくいかないのは、自分がアダルトチルドレンだからですか?」
「回避依存症かもしれないけど、誰にも相談できなくて…」
こんな声が、私のもとには本当によく届きます。
実際、カウンセリングに来られる多くの方が、
“親密さを求めたいのに怖い”
という矛盾する思いを抱えています。
今回は、アダルトチルドレンと回避依存症がどう繋がっているのか、
どこが違いで、どう向き合えばいいのかを、
できるだけ具体的にお伝えします。
アダルトチルドレンとは?「親の顔色を伺って育った私」
僕のクライアントさんの中には、
「子どもの頃、親が怒らないように、ずっと空気を読んでいた」という方がたくさんいます。
例えば、父親が不機嫌になると、母親もピリピリして、
家の中に安心できる居場所がなくなる。
だから、泣きたいのに泣けなかった。
怒りたいのに怒れなかった。
そして大人になった今も、
・人の顔色を過剰に伺ってしまう
・「嫌だ」と言えない
・褒められても素直に受け取れない
・自己肯定感が育ちにくい
こうした心のクセとして残ります。
アダルトチルドレンの核心は、
「本当の自分を出したら、嫌われてしまうかもしれない」
という根深い不安です。
回避依存症とは?―「近づきたいのに怖くて遠ざける私」
では、回避依存症はどうでしょうか。
例えば恋愛関係で言えば、
「本気で好きになると怖くなる」
「相手に依存するのが怖いから、距離を置く」
「でも、相手が離れると不安で仕方なくなる」
というパターンです。
こんな声もありました。
「付き合い始めは楽しいのに、相手が本気になってくると息苦しくなるんです。
結婚の話が出ると怖くて別れたくなる。
でも別れると孤独で耐えられない。
また誰かを探して、同じことを繰り返してしまいます。」
これは一見すると矛盾していますが、
心の奥には、「親密になると傷つけられるかもしれない」という恐怖があります。
アダルトチルドレンと回避依存症が繋がるポイント
ここで大事なのは、
回避依存症は、アダルトチルドレンの“対人関係のクセ”として表れやすいということです。
機能不全の家庭で育つと、
「大切な人ほど裏切るかもしれない」
「甘えると突き放されるかもしれない」
という学習を、幼少期に無意識にしてしまいます。
だから大人になっても、
誰かと深く関わろうとすると、無意識に“逃げる”クセが出てしまうんです。
具体例――親密さが怖い人たち
例えば、30代女性のケース。
・幼少期に親が不仲で喧嘩が絶えなかった
・家にいても安心できなかった
・一人っ子で、親の機嫌を取るのが役目だった
大人になり、恋人ができると、
「この人は裏切らないだろうか」
「愛されなくなるかも」という恐怖がよみがえる。
相手が優しければ優しいほど、
「本当の私を見せたら嫌われる」と不安になり、
相手を試すような言動を繰り返してしまう。
結果、相手は疲れて離れていく。
「やっぱり私は愛されないんだ」と思い込みが強化される
これが回避依存症の典型的なループです。
そもそも「依存」とは何か?
ここで誤解してほしくないのは、
依存という言葉は決して悪いことではないということです。
人間は誰かに依存しないと生きられません。
赤ちゃんは親に依存して愛をもらうから生き延びられる。
問題は、安心して依存できる体験が少なかった人ほど、
不安定な依存や回避で自分を守ろうとするところにあります。
どう向き合えばいいのか―?
「本当の私は何を怖がっているのか?」
もし自分に思い当たるところがあれば、
まずは「どうして私は親密さが怖いんだろう?」と
自分の心に問いかけてみてください。
多くの場合、その奥には
・見捨てられたらどうしよう
・嫌われたらどうしよう
という原始的な恐れがあります。
それに気づかないまま、頭でだけ「変わらなきゃ」と思っても、
心と身体は変わってくれません。
僕が大切にしていること“まずは安全を感じる練習を”
僕のカウンセリングでは、
「じゃあ、親を許しましょう」とか
「すぐに心を開きましょう」とは言いません。
それよりもまず、
「この場では、何を話しても大丈夫」
という安全感を一緒に育てることを大切にしています。
泣いてもいい。
怒ってもいい。
みっともない自分でもいい。
そんな自分を一緒に受け止めてもらった経験が、
少しずつ人との関わりの“土台”をつくります。
まとめ――「生きづらさ」は、弱さではない
アダルトチルドレンも回避依存症も、
根っこには「怖かった過去」があります。
誰かを遠ざけたくて遠ざけているわけではない。
誰かを試したくて試しているわけでもない。
心の奥にいる小さな自分が、
「もう二度とあの怖さを味わいたくない」と必死に守っているだけです。
だからこそ、責めないであげてください。
責めるよりも、「怖かったね」と寄り添ってあげてください。
僕自身もかつては、
「こんな自分では愛されない」と思っていた時期がありました。
でも今は、同じように生きづらさを抱える誰かが、
少しでも自分を許せる瞬間が増えることを願って、
日々カウンセリングを続けています。
この文章が、誰かの心に小さな安心を届けられたら嬉しいです。